のげ町歯科室_診療所通信 2022.05/15号 口腔崩壊

  • 口腔崩壊毎年6/4からの一週間は「歯と口の健康週間」です。令和4年度の標語は『いただきます 人生100年 歯と共に』です。
    100歳人生を健康に過ごしていくために、この機会にご自身やご家族のお口の健康状態を今一度見直してみましょう。今号ではここ数年ニュースやネット、健康情報番組などでも話題になっている「口腔崩壊」を取り上げます。

    全国24の保険医協会が2012~2018年に小・中・高・特別支援学校を対象に行った調査について、全国保険医団体連合会が2019年に「学校歯科治療調査」と題し集計結果を報告しました。
    とくに子どもの口腔崩壊が深刻化しているとして注目を集めています。

  • 口腔崩壊」とは

    「口腔崩壊」とはいったいどういう状態のことなのでしょうか。「口腔崩壊」とは、未治療のむし歯が10本以上あったり、歯根しか残っていない歯が何本もあり、咀嚼が困難な状態を指します。口腔崩壊の児童

    冒頭の調査では、学校歯科健診で要受診と診断された児童・生徒はおよそ3~3.5割で、そのうちの5~6割が未受診でした。
    また中学、高校と学年が上がるごとに未受診率も高くなる傾向にあり、高校では8割にものぼるということがわかりました。

    むしばい菌そして口腔崩壊といった深刻な口腔トラブルを抱える子どもたちの家庭環境の実態調査からは、保護者の理解不足や無関心、経済的な問題など、子どもをとりまくさまざまな状況が影響していることもわかってきました。

  • 口腔崩壊」とは

    12歳児の永久歯、一人当たりの平均むし歯本数(処置・未処置・喪失の合計)が1970年代の5本をピークに年々減少を続け、2016年度には0.84本と1本以下になりました。
    食糧事情の改善で栄養状態が良くなったことや、むし歯の原因となるミュータンス菌の感染予防に対する知識の普及、また歯みがき剤に含まれるフッ素効果なども影響しているといわれています。

    それにもかかわらず、このような口腔格差が生じてしまうのはどうしてなのでしょう。まずは子どもをとりまくわれわれ大人たちの意識の差を縮めていくことが大切なのかもしれません。

  • 健康な口腔環境を育てよう

    校歯科健診で要治療の紙をもらったけど、痛みもないのに治療の必要はあるの?

    「歯が痛くない=歯に異常はない」と思っている人もいるかもしれませんが、むし歯は糖分をエサにミュータンス菌が出す酸によって、徐々に歯が溶かされていくことで進行します。
    歯の表面を覆う丈夫なエナメル質によって守られているため、多少の刺激では痛みを感じません。エナメル質の奥の象牙質にまでむし歯が進行すると、痛みを感じるようになります。

    虫歯の進行 

    定期的に歯科検診痛みは肉体的にも精神的にも苦痛ですし、そうなってしまってからでは治療に要する費用も期間もかかってしまいます。
    学校健診で要受診の紙をもらったら、歯科医院で正確な診断をしてもらいましょう。
    初期のむし歯なら簡単な処置で済みますし、ブラッシング指導を受けることで予防意識も高まります。

     

    歯がむし歯になっても、生えかわりで抜けてしまうのだから放っておいてもいいのでは?

    乳歯は永久歯に比べてエナメル質が薄く弱いため、むし歯になりやすく進行も早いのです。さらに乳歯のむし歯は白っぽく見つけにくいうえに痛みが出にくいため、気づいたときにはかなり進行してしまっていることも。

    でもそのうち永久歯に生えかわるのだからと軽く考えないでください。
    乳歯のむし歯が進行して歯根に膿がたまってしまうと、その下の永久歯の形成に悪影響を及ぼしたり、乳歯がむし歯で抜けてしまうと、下から生える永久歯がガイドを失ってしまい正しい位置に生えてくることができなくなってしまいます。お口の健康をチェック

    大人も子どももむし歯予防に関する正しい情報を知って、幼少期からむし歯のない健康な口腔環境をいつまでも保っていきたいですね。

  • 学校のお便りをチェック!

    子どもの成長につれて、親が子どもに食後の歯みがきを促したり、仕上げみがきをおこなう機会はだんだんと減ってきます。毎日元気で学校に通っている様子を見れば、お口の健康状態まで気にする親御さんは少ないでしょう。働くお母さん
    親も仕事や家事など毎日があわただしく、子どもの口腔内の異変にまではなかなか気づくことができないかもしれません。

    そんな時、子どもの様子を知ることができるのが学校から持ち帰ってくる『お便り』です。「保健だより」などには子どもの成長や健康に関する情報が発信されています。
    目を通す機会には、ぜひお子さんの口の中も覗いてみてください。